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毛虫の生態と駆除について
 初夏になり、世間では庭の草刈りや木々の剪定に奮闘されている方や庭園のガーデニングを楽しまれている方などが多くおられると思われます。和歌山県では桃や柑橘類などの果物、梅や野菜などのシーズンに入り、農家の方々も多忙の日々であると思われます。しかし、そのような仕事や楽しみを阻害してくるのが『毛虫』です。毛虫は集団で入る事が多い為、発見してしまうとゾッ!とされる方も多いのではないでしょうか?今回はその毛虫の生態と駆除方法についてお話していこうと思います。
 まず毛虫とはチョウやガ類の幼虫のうち、毛やトゲが生えているものを指します。特にガ類の幼虫で毛が多い物を指す場合が多いです。ただし、少々毛が生えたイモムシとの明確な区別はありません。毒毛を持っていると思われて毛嫌いされることが多いですが、実際に有毒な種類はごく一部で、日本に生息している種類では『ドクガ科』『カレハガ科』『ヒトリガ科』『イラガ科』『マダラガ科』の一部の幼虫に限られています。有毒種のいつくかは普通の種であるものもいます。全身に長い毛の生えたものや、細かい毛の生えたものなど、様々な形の物がありますが、有毒な種でも、すべての毛に毒があるわけではありません。また毛の目立たないものにも有毒種があります。
 毛虫が大量発生する原因はいくつかあります。毛虫は素早く行動することができないため、天敵である鳥やスズメバチ、他の虫などに食べられることが多いです。そのため、なるべく多くの卵を産み、成虫まで生きられる数を多くする生態です。卵は鳥やスズメバチに見つかりにくい葉っぱの裏にまとめて産み付けます。孵化してからも集団で生活するので、一か所にまとまって大量発生してしまうのです。また、ご家庭などで毛虫が発生して殺虫剤をまいたとしても、毛虫には効いていない場合があります。毛虫を食べる他の虫だけに効いてしまうと逆に毛虫を食べる虫がいなくなり毛虫が増えてしまうということも考えられます。
 ガーデニングをしていると必ずと言っていいほど遭遇する毛虫。さらに毛虫は大事にしている植物を食害にします。大切にしている植物の葉に穴が開いていることは悲しいですよね。そのような毛虫の代表的な種類や駆除について紹介していきましょう。
 毒を持つ種類からです。ます『ドクガ』です。終齢幼虫は35㎜~40㎜で幼齢の頃は頭部が黒色で胴は淡いオレンジ色で、成長と共に黒くなっていき側面や背面にオレンジの縞模様が現れます。毒があるのは目立った長い毛ではなく、その内側にある毒針毛と呼ばれる微細な毛です。その数は600万本と言われており、抜けやすいのが特徴です。触れるとピリピリとした痒みを伴う皮膚炎を引き起こしますが、痒みは耐え難いほど激しく、2~3週間も継続します。死骸や脱皮した皮、抜け落ちた毒針毛に触れても皮膚炎を起こすので注意が必要です。サクラ属、バラ属、クヌギ属など、100種以上の樹木や草花に発生します。和歌山県でも非常に被害報告が多いです。次に『チャドクガ』です。終齢幼虫は35㎜~30㎜。幼齢の頃は淡黄褐色で、成長すると頭部は黄褐色で全体に黒い部分が多くなり、側面に白い線が入ります。毒性はドクガに比べるとやや弱いものの、触れると数時間後に患部が赤く腫れ上がり、激しい痒みを伴います。刺された時の痛みは殆どないため、症状が出てから気付くこともあり、なかなか厄介な毛虫です。一度刺されると体内に抗体ができるため、二度目はさらに激しい症状を引き起こします。抜け落ちた毛などでも症状が起こるのはドクガと同じです。衣服に付いた毒針毛に触れただけでも症状を発症するので注意が必要です。ツバキ科の樹木であるチャやツバキ、サザンカなど庭木にもよく発生するため、最も被害が多いです。チャやツバキ、サザンカの葉に整列している毛虫は、チャドクガと思って間違いないです。幼虫の発生は4月~10月にかけて2回で、大きくなるまでは集団で生活しています。
続いて『イラガ』についてです。終齢幼虫の体長は20㎜~25㎜程度です。毛虫というよりはウミウシのような姿形で、短いトゲが体表に並んでいます。トゲの付け根の体内には毒の入った袋があり、外敵の皮膚に注入します。触れると想像を遥かに超える激しい痛みが生じます。鋭い痛みは1時間程続きますが、痒みや発疹を発することは稀です。刺されると最も痛い毛虫として有名です。バラ科のウメ、サクラ、アンズ、クリ、ヤマボウシ、カエデ類、ヤナギ類などに発生します。和歌山県ではウメが名産ですので、ウメに付く毛虫はイラガと考えてよいでしょう。幼虫の発生は夏から秋にかけて1~2回です。小さいころは樹木の葉裏などで集団生活し、大きくなると分散する習性があります。続いて『マツカレハ』です。終齢幼虫の体長は70㎜程度です。背面は銀灰面で腹部が茶褐色の大型の毛虫です。胸部、頭部に黒い毒針毛を持っており、触れると激痛が走って腫れ、痒みが1~2週間程度続きます。アカマツ、クロマツ、カラマツなどに発生します。幼虫は7月~9月にかけて孵化し、秋になると幹から降りて根基や落ち葉の下などで超冬します。春になると再び樹に上がって葉を食害します。マツの木にコモを巻いていているのを見たことがあると思いますが、マツの木にコモを巻くのはマツカレハをコモの中に集めて退治するためです。続いて『ホタルガ』です。終齢幼虫の体長は25㎜~30㎜程度です。透明感のある黄色に黒いラインが特徴です。毒針毛は持っていませんが、毒のある分泌液出します。その分泌液に触れると約10時間後に痒みを伴った赤い発疹ができ、2日程度続きます。ヒサカキ、ハマヒサカキ、マユミ、マサキなどに発生します。幼虫の発生は4月~6月、8月~9月の年2回となります。紹介した以外にも毒のある毛虫は存在しますが、和歌山県で毒のある毛虫は紹介した種が殆どです。毒のある毛虫はほんの少数ですが、なかなか識別は難しいものです。そこでよく見かける毛虫の中で、いかにも毒がありそうなのに無い毛虫を紹介していきたいと思います。まず『マイマイガ』です。終齢幼虫の体長は50㎜~75㎜。頭部にある目の様な一対の紋と、体にあるカラフルな2列の点々模様が特徴です。ドクガやチャドクガと同じドクガ科の毛虫ですが、毒はありません。毛がかなりの剛毛ですので、触ると指に刺さって痛みを感じる事があります。極めて広食性で、広葉樹、針葉樹、草花など知られている限りはほとんどの葉を食害します。幼虫の発生は春から初夏にかけてです。羽化するとバラバラに散らばり、糸を吐いて枝からぶら下がり、風に乗って移動します。この習性からブランコケムシとも呼ばれています。続いて『アメリカシロヒトリ』です。終齢幼虫の体長は30㎜程度です。白い長毛で覆われ、幼齢の頃は淡い黄色で背中に黒い点が2列に並び、大きくなると背面が灰色、側面が黄色になります。毒はありません。広食性で、サクラ、ヤナギ、カキ、ミズキ、プラタナス、ポプラなど、様々な広葉樹に発生します。カキは和歌山県でも、地域によっては名産になるので、お困りの方も多いのではないでしょうか?幼虫は5月~9月の2回は一声します。幼齢の頃は糸を貼った巣の中で集団生活をし、大きくなると分散します。北米からの外来種であるため、都市部で多く発生し、街路樹などを喰い散らかし社会問題になります。続いて『オビカレハ』です。終齢幼虫の体長は60㎜程度。水色の体にオレンジの線が特徴です。マツカレハの仲間ですが毒はありません。ウメ、サクラ、リンゴ、モモ、ナシ、ヤナギなど多くの樹木に発生します。和歌山県のウメ農家やモモ農家の方は注意が必要です。幼虫の発生は3月~6月頃の年一回に発生し、集団で生活を行います。最後に『ツマグロヨウモン』です。終齢幼虫の体長は30㎜程度です。黒い体に鮮やかなオレンジの線、体表のトゲが特徴です。トゲは身体の前半部分は黒く、後半部分では根元が赤くなります。派手な見た目ですが、無毒で刺すこともありません。各種スミレ類に発生し、園芸種のビオラやパンジーを食害することもあります。ガーデニングをされる方は要注意です。
 ここからは毛虫の駆除に関するお話をお伝えしていこうと思います。毛虫は幼齢であれば基本的に群れている事が多いので、駆除は比較的に楽になります。多くの毛虫は春先、秋口に発生するので、幼虫が小さな内に発見する事が大切です。まず、上記でも説明したように毛虫には毒針毛をもつ種類がいます。よく発見されるのは『ドクガ』と『チャドクガ』です。このような種類の駆除には細心の注意が必要です。出来る限り肌を露出しない様に長袖、長ズボン、手袋、帽子、ゴーグル、マスクなどを着用して作業して行うことをお勧めします。100円ショップなどで安く販売されている雨ガッパなどを使い捨てて利用すると便利です。殺虫剤ですが通常のスプレータイプの殺虫剤などを使用すると、毒針毛が飛散して危険です。殺虫剤を使用する場合はガス噴射タイプの物ではなく、霧吹きタイプの物が使用してください。また、その毛虫の種類専用のスプレーも販売されています。そのような商品を探して利用するのも1つの方法です。幼虫の発生が大量の場合、または大きな樹木全体に分散している場合など、対処が難しいと感じた場合は専門の業者に依頼して下さい。なお駆除の際に着用した衣服は、そのまま洗濯しても毒針毛は取り除けません。衣服に付着した毒針毛に触れても炎症を起こすので注意が必要です。掃除機を丁寧に掛けて、毒針毛を取り除いて下さい。また50℃以上のお湯で洗うか、洗濯後にスチームアイロンをかけると毒性が無くなります。毛虫の発生が少なければ、樹木用の殺虫スプレーが簡単です。発生が多い、又は広範囲に及んでいる場合は、スミチオン乳剤などの液体殺虫剤を使用します。葉裏などに潜んでいる場合もあるので、丁寧に散布して下さい。どちらの場合も使用方法、適用のある植物などをよく読んで使用して下さい。
 いかがだったでしょうか?今回は大量発生する毛虫の種類や特徴を知ることができたと思われます。毛虫が大量発生するのは、毛虫がまとめて多くの卵を産むことや、葉の裏などに産み付けることで外敵に見つかりづらいことが理由として挙げられます。毛虫が大量発生した時の対処法もお伝えしました。特に毒のある毛虫には注意が必要です。毒をもつ毛虫を駆除するときは、肌を露出しないように気を付けましょう。また、毛虫の大量発生を予防するためには毛虫が卵から孵る前に除去しておくことが大切です。しかし、ご家庭で駆除や予防する場合は、やり方があっているかわからないこともあります。もし毛虫の被害に困っているなら、衛生害虫駆除のプロや専門家に相談してみてはいかがでしょうか。適切なアドバイスで問題を解決してくれるでしょう。
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